こんにちは。企業人事歴7年のおーじんじ(OH人事)です。
以前は「フリーランスになる前に知っておきたい契約の基礎知識」ということで契約の大切さについてお話しました。
今回はフリーランスになるなら絶対おさえておくべき、「準委任契約」「請負契約」について詳しくお話しようと思います。
よくわからないまま契約を締結してしまい後で大きなトラブルにならないよう違いを理解しましょう。
以前もお話しましたが私自身法学部を卒業したわけでもなく法務経験もありません。
業務上必要なところから少しずつ学んでいきましたので、契約について無知な方でも最低限おさえておくべきポイントは理解できると思います。
目次
業務委託契約
発注者(クライアント)は業務をアウトソーシングするとき受注者(フリーランス)と結ぶ契約を業務委託契約といいます。
業務委託契約は依頼する内容によって大きく2つの種類に分けることができます
1.請負契約
2.準委任契約
請負契約
請負契約は受注者が発注者が依頼した成果物を完成させることを約束する契約となります。
そのため完成までのプロセスは問われません。
プログラミングやシステムを統合するなど成果があるときは請負契約を結びます。
納品物があればそれは請負になると覚えておいてください。
準委任契約
システム開発の用件定義であったりコンサルティング業など成果物の納品が難しい場合や清掃、ベビーシッターなど時間制で行う業務委託を準委任契約といいます。
委任契約については弁護士などの法律に関する業務に限られます。
また準委任契約はさらに2つの型に分けられます。
履行割合型
報酬の支払いが依頼された業務をこなした時間や工数を基に算出されます。
そのため成果については問われません。
成果完成型
こちらは依頼した業務が完了した場合に報酬が支払われます。
そのためどれだけの時間を費やしても完成しなければ報酬は支払われません。
少し請負契約に似ていますが異なる点があります。
その違いは後で解説します。
何が違うのか
請負契約と準委任契約の違いは発注者、受注者の負うべき責任、義務の違いになります。
以下6つの項目について細かくお話します。
受注者の義務
請負契約では完成義務,準委任契約では善管注意義務を負います。
完成義務は文字通り発注者が依頼する成果物を受注者は完成させる義務があるのです。
善管注意義務は受注者は発注者に依頼された行為をするにあたり一般的に期待される最低限の注意を払わなければいけない義務です。
例えば新しく飲食店をオープンするとしてお皿にこだわりたいと思ったときプロの職人に頼むとします。色や形、素材などリクエストをした場合、受注者の職人は求められる質の高いお皿を作る義務があります。また安く大量に発注したいと思った場合でも見栄えは全く気にしないことは無く最低限の品質は求められると思います。約束したとおりに作業を行わなかった場合が善管注意義務違反となります。
また先ほど紹介した成果完成型の準委任契約はあくまで報酬の支払う条件が完成することであり負う義務は善管注意義務となりますので注意してください。
成果物の有り無し
次の違いは成果物があるかどうかです。
請負契約では成果は必ずありますが、準委任契約においては必ず無いわけではないと理解してください。
たとえば何か業務改善についてコンサルティングを依頼する場合、課題であったり改善案のレポートを求められたりします。そのため準委任契約においては内容をきちんと確認しなければなりません。
報酬をもらえるタイミング
請負契約では成果物を納品したタイミングで報酬を請求できます。
準委任契約について成果の基準が異なるのですべて完了したときとなります。成果のあるものは成果の提出であり一定期間続く業務を提供した場合には約束の日数や工数を完了した場合になります。
また成果物がない場合の依頼を受ける場合にはきちんと作業をしたエビデンスを用意しておくとトラブルになりにくいです。
たとえばベビーシッターを受ける場合、朝何時から夕方何時まで働いたかはもちろん細かな作業内容まで記録しておくとベストです。
発注する側にもきちんとした印象を与えますし継続した顧客になりやすくなります。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
請負契約のみあります。2020年4月1日から民法改正により名称が変更になりました。
よく瑕疵(かし)なんて言われているもので成果物の仕様、スペックに合わない欠陥品のことを言います。
もちろん欠陥品を納品してしまった場合には代金から減額したり代替品を納品することが一般的です。
また受注者としては保証する期間は短く設定したほうが当選有利となります。
名称が変わったため読めば内容をざっくりとは理解しやすくなりましたね。
中途解約
中途解約を誰がいつまでに出来るかについて異なります。
請負契約では成果物の完成前であれば発注者に契約解除は可能です。ただし受注者に対しては損害賠償をすることが条件です。作り出しているものを急にキャンセルするのですから当然です。
準委任契約についてはどちらからでもいつでも契約解除可能です。
というのもその行為をやってもらうのが契約の本質のため、変更は自由なのです。
美容室やジムなどをイメージしてもらえればわかりやすいと思います。そのお店や美容師、インストラクターがいるから行くのであって違うお店に行きたくなれば変えることが可能ということです。
ただし注意点として民法改正により相手方が不利なタイミングで中途解約をした場合損害賠償をしなければならないということが明記されています。
この点については覚えておくとトラブルを回避できるでしょう。
またお互いに契約を巻く際に、「契約解除のタイミングは3カ月前までには告知するようにしましょう。」など、お互いを守るための契約を協議すると良いでしょう。
再委託
下請けとも言いますが請負契約では可能です。
準委託契約では出来ません。
請負契約は成果物にスポットが当たりますので他のものがやっても求められる品質をクリアしていれば問題ないという考え方です。
対して準委任契約ではやってもらうこと自体が重要ですので原則出来ません。
せっかくいきつけの美容室に行くのに予約をしたら別の美容室に行ってくださいと言われたら困りますよね。
ただし完全に禁止ではなく原則となっています。
発注者側が受注者のことを信頼し認めてもらえば問題ないとされています。
別の美容室とはいえ信頼している美容室の姉妹店を紹介されるといったシュチエーションであれば納得できるという考え方です。
以上が請負契約と準委任契約の違いになります。
細かくは理解できなくとも大きなポイントは理解しておくと契約のトラブルも起きにくくなります。
注意する点
どの契約を結ぶときにも大切ですが契約書はタイトルではなく中身が優先されます。
そのため契約書のタイトルが「請負契約書」となっていても実際中身は「準委任契約」の内容という場合もあります。
契約なんて長くて読んでられない!
なんて思いがちですが万一何か起きたらどうしようという気持ちでまずはしっかりと一読しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は請負契約と準委任契約の違いについてお話しました。
細かな部分については弁護士であったりプロに任せるとしても何も知らずに契約をしてしまい思いがけない義務や責任を持つことの無い様、どのような契約をしなければならないかはしっかりと理解しましょう。