リキッド消費の広がり、どんな影響があるの?

モノを所有しない新しい消費スタイルである「リキッド消費」。消費者動向がリキッド化していく背景には何があるのでしょうか?リキッド消費の市場に対する影響まで今回は見ていきましょう。
「メディア」編集部

前回記事では、モノを所有しない新しい消費スタイルとしての「リキッド消費」とは何なのかをお伝えしました。

前回記事 → 新しい消費スタイル「リキッド消費」とは?

今回は、なぜこのリキッド消費が広がってきているのか、今後の市場に対する影響も含めて触れていきたいと思います!

 

 

なぜリキッド消費が広がっているの?

おさらいですが、リキッド消費とは「短命性」「アクセス・ベース」脱物質」の特徴を持ったものを所有しない新しい消費スタイルのことを言います。

シェアリングやサブスクリプションサービスがリキッド消費の代表的なサービスとなります。

では、なぜリキッド消費が広がってきているのか見ていきましょう。

 

所有より体験が重視されるようになってきた

「ミニマリスト」という言葉が流行ってきているように、あまりモノを所有しない生活スタイルを取り入れる人も増えてきました。

例えば、車やブランド物、バッグ、CDなど、少し昔に比べて手元にあるものはかなり減ってきているのではないでしょうか?

今はモノ消費から「コト消費」へと移行しており、所有より体験を重視するようになってきています。

つまり、モノ自体が持つ価値が下がっているということもできるのです。

 

シェアリングやレンタルなどで消費ができるようになった背景もあり、ブランドに対する強い好意がなければ、消費者もわざわざ購入して所有をしたいと思いません。

所有をするには、「持っていたらおしゃれだ!」「このブランドじゃないとダメなんだ!」などの感情が必要で、所有すること自体に対するハードルが以前より上がってきているといえます。

 

デジタルが普及した

コト消費が普及した原因の一つとして、一番大きいと考えられるのがデジタル化です。

わざわざ所有しなくても、サブスクリプションサービスや、レンタル、シェアサービスで体験することができます。

所有よりも体験として消費したほうがコスパも高く、自然と利用率が上がっていきます。

 

また、SNSの普及も大きな影響があります。

ブランド品を実際に所有していなくても、ブランド品をレンタルし、SNSやインターネットを活用して「ブランド品を利用している自分」の姿を手軽に発信することができます。

ブランドそのものに対する好意ではなく、セルフブランディングのためにブランド品を「利用」する流れもあり、本当にブランドを愛する層が減少し、所有をしないリキッド消費が広まっていると考えられます。

 

手軽な便利さ

デジタル化の普及により、手軽な消費スタイルが浸透してきています。

昔は店頭に出向いて購入せざるを得なかった漫画やCDなども、今はインターネットを使えば「ほしい!」と思った瞬間にすぐダウンロードできるようになりました。

ほしいと思った瞬間に手に入ることで満足度も高くなります。

手軽で速い利便性が重視されているため、リキッド消費につながっているのです。

 

 

 

リキッド消費の広まりによる市場の変化

「冷めた」消費者が増えていく

前の項目でも説明した通り、リキッド消費が広まることで「このブランドじゃなきゃダメだ!」という感情を持った消費者が減少しています。

ブランド品を所有することより、今の自分にとって必要かどうか、効果的かどうかの判断で消費が行われるので、ブランドそのものに対してのこだわり・愛着が薄れていっている傾向があります。

ある意味、ブランドに対して「冷めた」消費者が増えているともいえるでしょう。

 

「普通」の人を取り込むマーケティング

自社ブランドのファンを増やす「ファン・マーケティング」は今までもこれからも重要ですが、市場全体にブランドに対して冷めた「普通」の消費者が増えてきます。

今まで通りのマーケティングだともしかしたら「狭い」アプローチとなり、この「普通」の消費者たちを取り込むことはできないかもしれません。

ファンの創出にこだわりながら、普通の人たちを取り込むような戦略も今後重要になっていくでしょう。

 

 

 

まとめ

ただ、気を付けなければいけないのは、市場の全てがリキッド消費になっていくわけではない、ということです。ブランドに対して強い愛着を持つ消費者もたくさんいます。

リキッド消費が台頭してきているからといって、既存のファンが離れていくとは限らないので、今後はより一層広い視野を持ったマーケティングが必要になってくると考えられます。

それぞれの時代に合ったサービスの提供やマーケティングをしていくことが、消費者の満足度につながっていくのではないでしょうか。