フリーランスが経営者として知っておきたい独占禁止法の違反ケース

フリーランスで働いていると業務の発注者から不当とも思われるような契約をすることが!?そんなときも、正しい知識を持つことで契約を交渉したり法的に争うこともできるようになりました。フリーランスの方、ぜひ一度ご一読を!
「メディア」編集部

フリーランスで働いていると業務の発注者から不当とも思われるような契約をすることになる場合もあります。

しかし、それが独占禁止法の違反になるケースもあるというのは知っているでしょうか。

フリーランスの経営者が契約を締結するときに、理解しておくと役に立つ独占禁止法の違反ケースについて代表的なものを紹介します。

 

 

 

契約が独占禁止法に違反するケース

独占禁止法とは公正かつ自由な競争を促すために定められている資本主義の基本となる法律の一つです。

もともとは会社同士の取引が対象とされていましたが、平成30年2月の改正でフリーランスも経営者として独占禁止法の対象になることが定められました。

これに伴って改正以前は合法的に行われていた契約も、改正後は違法とみなされる可能性が生まれてきています。

どのような契約が独占禁止法の違反になるのかを種類ごとに分けて確認してみましょう。

 

秘密保持義務の条項はフリーランスの契約ではよく盛り込まれていますが、発注者からの説明が不十分だったり、明らかな越権行為として発注者から押し付けられたりした場合には違反になります。

また、競業避止義務についても同様で、フリーランスの請け負える業務範囲を制限してしまうという観点からも納得した上で契約していない限りは独占禁止法違反として認められるのが基本です。

 

さらに、専属義務についても規制の対象となります。

専属義務は発注者がフリーランスを囲い込むために負わせる義務ですが、フリーランスの人が自由に契約をして仕事をしていくのを妨げるのは明らかでしょう。

この場合にも内容説明が不十分、発注者の地位に優越性があるといった場合には違反と見なされる可能性があります。

また、契約期間終了後に再契約を依頼されて断ったために報酬の支払いが遅くなったり、悪評を流されたりした場合にも違法行為として発注者が取り締まりを受けるのが原則です。

 

成果物に関わる権利制限についても独占禁止法に違反する可能性があります。

典型的なのが成果物の非公表義務で、フリーランスの人が仕事をした事実を明らかにしない契約条項になっています。

この事実が成果を残したフリーランスの人材としての価値を高め、次の案件獲得に活かせるのは明らかなので独占禁止法違反として認められるのが通例です。

この他にも成果物を他で転用するのを制限することや、著作権の譲渡を無償や安い費用で譲渡するのを求めること、役務内容についての十分な説明がないまま優れた取引条件を提示する行為なども違反になる可能性があります。

 

 

 

違反ケースから考えるフリーランスのメリット

基本的には発注者がイニシアチブを取って自らの利益のために行った行為は独占禁止法に違反する可能性があります。

そのため、これまで下請けのように低い立場で契約せざるを得ない状況があったフリーランスも、一人の経営者として対等な立場で契約できることが法的にも認められたことになるのです。

つまり、フリーランスの人が発注者から不当かもしれないという契約を迫られたときには交渉の余地があると考えられます。

契約後にその事実に気づいた場合にも独占禁止法に違反するという理由で交渉したり、弁護士の力を借りて法的力を持って争うこともできるようになったのです。

仕事の内容や価値に合った対価を得られる正当な取引をすることが容易になったのが独占禁止法の対象となったメリットです。