意外と知らない! 副業解禁の裏側

一つの会社で勤め上げる!という従来型の雇用形態は崩れつつあり、副業解禁としている企業も増えてきました。ですがこの副業解禁、どういう経緯で解禁となったのかご存じですか?今回は副業解禁に至った流れと企業側のメリット・デメリットを併せてご紹介していきます!
「メディア」編集部

今、企業で副業をOKとするところも増えてきていますね。

もしかしたらあなたの会社も副業を推進されているのではないでしょうか?

まだ「副業厳禁!!」の会社のほうが多数派ではありますが、時代の流れとともに変わってきています。

今回はそんな副業について企業側の観点から見ていこうと思います!

 

 

何故副業OKになったの?

そもそも副業は法律では禁止されていないのですが、多くの企業が就業規則に従業員が守るべき事項の一つとして、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と定めています。

それなのになぜ副業が禁止されているのかというと、原因は厚生労働省の作成した「モデル就業規則」にあります。

 

社員が10人以上いる会社は、就業規則を作成して労働基準監督署に提出をする必要があります。

しかし、ゼロから就業規則を作成するのは難しいので、厚生労働省が参考例として「モデル就業規則」を作成し、ウェブサイトでも公表しています。→厚生労働省/モデル就業規則について

多くの企業がモデル就業規則を参考に自社の就業規則を作成していますが、このモデル就業規則の中に「許可なくほかの会社等に従事しないこと」という副業禁止の規定があったのです。

 

ところが、厚生労働省は2018年1月にモデル就業規則を改訂し、副業禁止の規定をなくし「勤務時間外において、ほかの会社の業務に従事することができる」という副業の自由を明示するに至りました。

このような背景から、2018年以降副業を認める企業が徐々に増えてきてきているのです。

 

では、副業解禁の理由はこれだけなのでしょうか?

もちろん厚生労働省の影響も大きいですが、企業としても副業を認める狙いがあります。

 

 

 

企業の副業を認める狙いは?

優秀な人材を獲得する

大手企業も副業を解禁し始めている理由も、優秀な人材の確保が最も大きな理由です。

優秀な社員は他企業からの合同プロジェクトの誘いや、会社ではなくその人個人を指名したオファーを受けることもあります。

そのような人材にとって会社の枠組みや副業禁止の環境は働きずらさを感じかねません。

もし副業を禁止していたら、副業を解禁している自由度の高い同業他社に優秀な人材が流れて行ってしまう、なんてことも考えられます。

 

人材が流出してしまうくらいなら、むしろ副業を解禁して新たなビジネスチャンスを創出したり、他業種で得たノウハウや知識などを本業に活かしたりする方がこれからの時代に合っていると考えられます。

逆に副業を推進していくことで、他社からの優秀な社員を獲得できる可能性も高くなります。

また、副業を認めていること自体が、対外的にも「先進的」な企業としてイメージの向上も期待できます。

 

 

訴えられるリスクがある

副業解禁とは言われていますが、そもそも企業に副業を禁止することはできません。

前述した通り副業を禁止することは法的にも違法行為となってしまい、企業が有罪とされた判例もあるようです。

 

本来の労働契約は「就業時間内」のみに適用されるため、就業時間外に従業員に制約をかけることは個人の自由を侵害する行為とみなされてしまいます。

副業禁止が違法であることを知っている従業員が、副業を禁止されたことについて会社を訴えるリスクも拭い去ることはできません。

経営者としては、禁止するのではなく副業解禁の流れをどう前向きに活用していくか検討していくほうがメリットが大きいでしょう。

 

 

 

副業解禁の懸念事項

世の中の流れ的には「副業解禁すべき!」ですが、現実として副業を禁止している会社のほうが多いです。

副業解禁を推進し切れない企業側の事情も見ていきましょう。

 

パフォーマンスの低下

副業解禁により従業員のモチベーション向上はもちろん期待できますが、副業に力が入り過ぎて、本業の業務パフォーマンスが低下してしまう恐れもあります。

あくまで本業ありき、本業に支障をきたす形での副業はできないことは、副業解禁する前に就業規則で明確に定めておく必要があります。

また、企業としては従業員の健康管理も義務に含まれているので、副業を始めた社員に対しての配慮、コミュニケーションも怠ってはいけません。

 

情報漏洩のリスク

社員の中には本業で得た知識や応報をもとに副業を行う人もいると思われます。

もし対外的に公開していない情報がこのような社員を経由して流出することで、多大な被害を被るリスクがあります。

企業側は副業解禁の際には、本業で得た情報の取り扱いについての秘密保持など、想定される様々なリスクへの対策が不可欠です。

 

労働時間の管理

実は、労働基準法では本業と副業(異なる職場で行う場合)の労働時間は、「通算する」ことが定められています。

通算した結果、時間外労働に該当する労働が発生した際には割増賃金の支払いが必要となってしまいます。割増賃金の支払いは副業先の事業者の場合が多いようですが、その限りでもない様です。

ただ、もし厳密に時間を通算させようとした場合、難しい要素が多いです。

企業側は副業での労働時間は労働者の自己申告に頼るしかないのですが、その内容の正確性は保障されません。労働者側が自己申告しない(内密に行いたい)ケースもあるため、完全に把握をするのは不可能ともいえるでしょう。

 

この件については、事業者ごとに運用しやすい柔軟な制度設計に向けて、新たなルール作りが検討されている状況です。

とはいえ、現段階では厳格な通算ルールの適用も難しく、あいまいな点もあるため、多くの企業が副業解禁まで踏み切れない現状があるようです。

 

 

まとめ

意外と知らない副業解禁の背景について、いかがでしたか?

副業が解禁され様々なフィールドで活躍できる場が広がり、企業側にもメリットはたくさんあるものの、ただ単純に「解禁するだけ」ではハードルが高いもの事実です。

企業としては「うちの会社はこのスタンスなんだ!」と従業員に対して明確に提示しておくことが重要で、副業を推進している企業は様々な対策を行っているようです。

例えば、副業を促進するためにリモートワークやフレックスタイム制度を取り入れたり、本業への支障を無くすべく、副業をするの際には事前申告させて、本業の業績次第では評価に影響することも併せて注意喚起しておく、など様々です。

 

次回はどのような企業が副業解禁を行っているのか、見ていこうと思います!

お楽しみに!