近年、世界中のソフトウェア開発で取り入れられている「アジャイル」と言う開発手法があります。
その中でも特によく耳にするのが「スクラム」という開発手法です。
スクラムについては別の記事(スクラムで始めるアジャイル開発)で解説していますので省略します。
ここでは、これからスクラムで開発しようとしている方や、「スクラムマスターって何か響きがいいからやってみたい!」と思っている方に、スクラムマスターの役割について説明します。
目次
スクラムマスターとは?
「スクラムマスター」は、「調停者」や「調整役」と似ています。
何か問題や妨害が発生した場合にそれを排除します。
また、スクラムにも様々なプロセスがありますが、それらのプロセスをうまくまわすこともスクラムマスターの役割です。
以下、スクラムのプロセスにはどのようなものがあるのか説明します。
プロダクトバックログの作成
プロダクトバックログとは、製品で実現したいこと/機能のリストのことです。
例えば、ログイン機能を付けたい!と言ったユーザーストーリー(顧客からの要望)があった場合、その機能の目的(何故、ログイン機能が必要なのか)と詳細(ユニークなIDとパスワードで認証する)と、見積もりを作成します。
その上で、ユーザーストーリーのリストを、優先順位・開発実装に着手する順番に並べます。
ユーザーストーリーの作成は、プロダクトオーナーやチームにやってもらう必要がありますが、これらのサポートをするのがスクラムマスターの役割です。
スプリントプランニング
スクラムでは「スプリント」という1週間から1か月くらいの定められた期間でユーザーストーリーを実現していきます。
1つのスプリントで必ず完成した動くものを作るようにします。
スプリント開始時に、プロダクトバックログからスプリントで実現するユーザーストーリーを取り出し、スプリントで実現できる単位にタスクを落とし込みます。
デイリースクラム
スプリントが開始されたら開発チームで毎日15分程度の進捗確認ミーティングを実施します。
ここで確認する内容は以下の3つです。
- 前回のデイリースクラムからやったこと
- 次回のデイリースクラムまでにやること
- 課題、困っていること
スプリントレビュー
スプリントの最後に、成果物をプロダクトオーナーにレビューしてもらいます。
ここでは必ず動くものをレビューしてください。
レビューを受けて、プロダクトバックログに追加すべきものがあるのか、成果物をリリースする日の目途、問題点の議論等を実施します。
スプリントレトロスペクティブ
プロセスやツール等の観点からスプリントを振り返ります。
うまくいったことや失敗したこと、今後の改善点について議論し、今後のアクションプランを作成します。
スクラムマスターの資格
スクラムマスターにも、以前にご紹介したPMI(Project Management Institute)のPMP(Project Management Professional)のような資格があります。
参考記事:プロジェクトマネージャーになろう!今日から始めるPM(プロジェクトマネージメント)
今、最もメジャーなものの一つは、Scrum Allianceの認定スクラムマスター(CSM: Certified ScrumMaster)です。
また、日本で広く知られている資格に、Scrum Inc.による認定資格スクラムマスター(LSM: Licensed Scrum Master)があります。
どちらの資格もPMPとは違い、講師による研修/ワークショップがあり2~3日で取得することが可能です。
資格は無くてもスクラムマスターの役割は果たせますが、基礎知識から実践的な手法まで学ぶことができますし、資格があるとキャリアにも優位になることは間違いありませんので、これを機会に取得することをお勧めします。
まとめ
スクラムマスターは、自身がスクラムのプロセスを十分に理解する必要があるだけではなく、それらをチームにも理解してもらい、チームで協力して開発できる体制を整える役割を担っています。
非常に大変な役割ではありますが、スクラムがうまくまわったときの爽快感やスピード感、達成感を味わう事ができる、とてもやりがいが感じられる役割でもあります。
この記事が、あなたのスクラムマスターへの一歩のきっかけになれば幸いです。